ベリリウム

久々に没ネタのUPです。前にエンジンの話を書いたので…(べたやねぇ)今回はベリリウムの禁止の話です。

ベリリウムは毒があるから禁止になったのですが、その禁止の経緯にはちょっと裏があるようです。

ベリリウム、学校で習う「水平リーベ僕の船」の”べ”ですね(要は元素番号4で元素記号Be)、たしかエメラルドの親戚だったようナ…

ベリリウム合金って、実はいろいろと使われています。一番身近なのはオーディオのスピーカーとかかな?。

でもって、毒性が高いと言われています、なんでもすごい中毒性があるそうです。でも普通はベリリウムに触っても大丈夫らしいです(でも、もし触ったら手を洗いましょう)。なにが危ないかというと、金属を加工する際に、切ったり磨いたりすると粉塵がでるじゃないですか。その粉塵が体内に入ると…

じゃぁ工場はともかくF1の現場では…と思う方もいるかもしれませんが、エンジンがブローした場合に破片が細かくなって舞うなんて事があるとオフィシャルの健康に害を及ぼすって可能性があるし、ピットでエンジンを組替える際とかにちょっと金属がこすれて粉が出るって可能性だってあります。

って事で禁止になって然るべき物ではあります。

が…禁止になった経緯は…そんな単純事ではないという噂があります。

ベリリウムはいろいろな金属との合金を作って、いろいろな性格の材料として使い分けるんです。(前述のスピーカーはベリリウム銅合金だったと思う)

F1のエンジンで使おうとしていたのはベリリウム・アルミ合金で、この合金は軽くて強度も強いけど弾力性もあるという理想的な物です。当然良い物は高い…だからF1でも、ごく限られたチームしか使用できなかったようです。
しかし、このエンジン向けのベリリウム合金はメルセデスが製造元と独占契約を結んでしまったんです。使いたい人はメルセデスを通して、もしくは承認を得ないと買えないんです。

これで、ベリリウムの採用を計画していた”あのチーム”が使えなくなってしまいました。ちなみに、ルノーBMW・ホンダ・トヨタ・フォードは「作業者の健康に害を及ぼす危険物、はじめから採用するつもりは無い」とコメントしてました…本音は分からないけど、一般大衆車も作っていれば害のあるものを使っているっていうイメージは持たれたくないって理由もあるかもね。
とすると、お金持ちで危険でも採用したいチームはどこかは分かりますよね(^^;

そこで、このチームは「良い物を独り占めするのは許せない、自分ところが使えない物は全部使えない方が良い」と思うのです。が…「独り占め」だけでは禁止の理由には弱いため、「健康に良くない物を使ってGP関係者に害を及ぼす」としてFIAに禁止するように申告したっていうのが本当の所のようです。

で、今のところフェラーリもエンジンのシリンダーブロックにはアルミ合金が使われているはずです。どうもシリンダーには弾力性も重要らしく、またエンジン内の他の部品と熱膨張率の差の問題からのチタン等は今の所は使えないようです。しかし、同様の問題でトライ・エラーがされていたチタン製ミッションケースが最近採用され始めたのでFIAが計画しているエンジン素材の制限の強化に引っかからなければ近い将来変わるかもしれませんね。

ちなみに、ベリリウムってなめると甘いんだって…なめた人…どうなったんでしょう??