アメリカGPタイヤ問題に関する「個人的」意見

なにか、タイムスリップしたような感じでしたね…その昔、FISA系とFOCA系の対立…DFV対メーカー12気筒…イギリス・プライベータ対大陸ワークスチームの頃のような…この頃FIASA系の代表チームはフェラーリFOCA系の代表をしていたのは「エクレストン」と「モズレー」だった…素人目には、政治的・資金的に威張るFISA系とモータースポーツの為に頑張るFOCA系ってイメージ、弱者代表の一人がモズレーだったような気がしたが…

今回はFIAフェラーリ 対 自動車メーカー系の対立、これがたまたまフェラーリブリヂストン、他メーカー=ミシュランって分かれてしまっていたのが今回の騒動の落とし所を失わせたと思うのは考えすぎだろうか…

==========================================

今回の騒動を時系列でまとめてみた…まだまだ、情報が錯綜しているので誤り等有るかもしれないが流れとしてはとりあえず、って事で容赦して欲しいです。逆に間違いがあれば指摘して下さい。また、感想などは個人的な感想です。

フリー走行トヨタのラルフとゾンタがクラッシュ。ラルフは身体的な怪我は見られないが受けた衝撃の大きさからメディカルチームの進言をうけアメリカGPの欠場を決め、ゾンタが代役となる事を決定。

トヨタのタイヤの空気圧がミシュランの推奨圧より低めに設定されていた事が分かる。この時点でミシュランは空気圧とタイヤの破損関係を含め原因調査をはじめるが難航。

マクラーレンロン・デニスは「トヨタミシュランの推奨空気圧を下回った設定をしたのがミス、ルノーやBARにも問題は起きていない」と、この時点では対岸の火事

金曜の夜、ミシュランはまだ原因は特定しきれないが各チームに一応、安全と思えるタイヤの空気圧・キャンバー角などを通達する。

金曜の夜?。ミシュランオーバル・バンク部の通過時にかかる上下および左右のG変化と、排水の為の溝の影響で11周以上周回した場合のタイヤの安全は保障できないと発表。対策としてスペインGPで使用したとの同等の構造・コンパウンドのタイヤの緊急輸送を決める。また、各チームに一応、安全と思えるタイヤの空気圧・キャンバー角などを通達する。

ここで、トヨタ以外のミシュランユーザーも対岸の火事ではなくなった。

ミシュランは代替タイヤの使用、および最終コーナー(オーバル・バンク部)の速度制限の為のシケイン設置を要望する。
また、代替タイヤの使用としてはグリッドを下げる、ピットスルーペナルティを受けるなどのペナルティを受ける事と、当GPノンタイトル化を要望する。

ルノーのブリアトレーのコメント
「代替タイヤが認められないのなら、安全のためにルノーアメリカGPを棄権する」

ミナルディのストッダートのコメント
「代替タイヤは、レギュレーション違反ではあるが、ファンの為にもFIAが使用を承認するば我々はこれを認める」

バーニー・エクレストンのコメント
ミシュランが安全なタイヤを見つけ出し、全車がグリッドに着きレースが行われる事を信じてる、心配はしていない。ただし、FIAの判定、ブリヂストン・サイドからクレーム等簡単にはいかないのはわかっている。」

FIAミシュランサイドの要望に対する回答
・代替タイヤ
 レギュレーション上決勝レースで使用するタイヤは土曜日に使用したものと同じタイヤ以外はレギュレーション違反であり認められない

シケイン設置
 インディアナポリスのサーキット側との問題になるが難しい、ミシュランチームは自主的に最終コーナー区間イエローフラッグとみなして減速して通過すればよい。

ノンタイトル
 却下

ミシュランサイドの要望に対する回答に対する各チームの賛同
・代替タイヤ
 ブリヂストンユーザー3チームを含む全チームが賛成

シケイン設置
 ブリヂストンユーザー3チームもしくは2チーム(まだ情報が未確定)とミシュラン・ユーザ全チームが賛成

ノンタイトル
 ブリヂストンユーザー2チームとミシュラン・ユーザ全チームが賛成

FIAのコメント
「各GPには2種類のタイヤを持ってこれるのに、ミシュランは2種類とも新構造のタイヤを持ってきた。この内の1種類を使用実績のある安全なタイヤを持ってくれば良かっただけの問題で責任はミシュランにある。そのためにレギュレーションにそぐわない行為を認めさせるのは間違っている」

日曜早朝
ミシュランからの正式回答として代替タイヤの使用を認められなければ最終コーナーを減速して通過する措置が施されない限りレースの参加は危険の旨のリリースが出される。

日曜の朝のマクラーレン・ウィリアムズのコメント
「代替タイヤの使用が認められなければ、グリッドにマシンを並べない」

日曜の朝のルノーのブリアトレーのコメント
「代替タイヤの使用が認められなければ、グリッドにマシンを並べるが、すぐにピットインする事になる」

日曜の昼
何も進展せず

決勝グリッド
トヨタのツルゥーリが最後までピットに留まるが、結局グリッドに着き、通常通りの進行が始まる
BAR・フライのコメント
「我々はグッリドで開始5分前までレース参加の方向で努力したがなにも認められなかった」

決勝スタート
フォーメーション・ラップでミシュランユーザーは全車ピットイン、マシンはガレージ内に…、多くのドライバーは数週の間コックピットに留まるが、結局進展なしとしてミシュラン全車リタイヤ。

*なぜ、棄権するのにフォーメーションラップを行ったか…
今のコンコルド協定で、レースに不参加をしたチームは1戦あたり億単位のペナルティとしての罰金が科される。予選落ち、もしくは予選までのクラッシュ等で参加しきれない場合は免除されるが、それ以外の理由では決勝のグリッドに着く事が公式的なレースの参加になるため、全車グリッドに着きフォーメーション・ラップのスタートまでは行ったと思われる。
この為にレースは正式なシリーズ中の1戦として認められることになった。

決勝
ブリヂストンユーザー6台で決勝レースは行われる。レギュレーションでは参加台数が12台以下の場合はレースの不成立となるが、フォーメーションラップに全車着いた事でこれは除外されレースは成立した事が認められる
TV中継の間ストッダートはカメラに向けサム・ダウンやミシュラン・サイドの合同プレスリリースを映すなどのFIAに対する反対と思える行動をアピール
バリチェロのコメント
「観客がブーイングし、物を投げ込むのが見えた。僕もピットに入りたい気持ちだった。マイクがあれば観客に説明したかった」

==========================================

さて、問題の起因はミシュランの不安全タイヤである事は明白で、FIAのコメント「この内の1種類を使用実績のある安全なタイヤを持ってくれば良かっただけの問題で責任はミシュランにある」は正論…しかし、インディのコースの特殊性「オーバル・バンク・排水溝」は普段テスト出来ない点を考慮していない、多分、アメリカGP用のタイヤをシルバーストーンやポールリカールで使用すれば問題はなかったのではと思われる。

また、ミシュランの「代替タイヤ使用」は確かに虫のいい話でFIAが認めないのも当然…また、安全なタイヤを使えないからレースを棄権する各チームの行動も当然…ライコネンのマシンが最終ラップでクラッシュした時のFIAのはコメントは「マシンが安全に走行出来ない可能性があれば、ペースダウンもしくは棄権するのが各チームの行うべき事で、そのためにレギュレーションを変更することは問題が違う」というニュアンスだったので、FIAは今回の各チームの行動は批判できない。

ここで、レギュレーションと安全という面でFIA・各チーム共に主張は正しい…しかし、ここでファンに対する考えがまるっきり欠如している。しいてあげればペナルティやノンタイトルでもレースをしたいというチーム側の主張は観客に対してレースを開催したいという事になる。が、FIAから一切、観客・視聴者に対する考えは聞かれなかったような気がする。

高い料金を払った観客、夜中にテレビを見る視聴者(日本にいたっては終わりは朝だよ…)、また、アメリカでのモータースポーツの聖地といわれるインディ…しかも、元々アメリカでのF1人気は今一つなのに、更に人気に翳りを落とす事になった…はたして、来年の開催はあるのだろうか。FIAアメリカでのF1人気の定着を目標としていたのではなかったのか…

観客の一部が缶・ペットボトルを投げ込んでしまった…300kmのマシンが走っている以上、絶対に許されない行為ではあるが…今回ばかりは気持ちは分かる…正直、全観客が何かを投げ込んでレースが出来なくなってしまったほうが良いのではと思ってしまった…もちろん、思っただけでも反省すべき事だけどね…ゴメン。

そして、一つ疑念がある…もし、タイヤが危険なチームに赤いチームが含まれていたらFIAは同じ決定を下したろうか??

参加した3チームのうち、ミナルディのストッダートは見せかけのポーズの可能性はあるが、「F1参加者全員でレースを提供したい」意向を感じた、ジョーダンは良くわからない…フェラーリは…「万が一、ブリヂストンが同じ事になる可能性」は考えられなかったのだろうか…それとも…「ブリヂストンがそうなっても結論は別なのだろうか」…もしくは…「楽に勝てるチャンスは逃さない」という感覚なのか…だって、全チームの署名で賛同したのは"9チーム"だったから…

今回のレースをみて思い出したのは1976年のF1・in・japan…雨で開催か中止かでもめて、結局開催となったが、スタート直後にチャンピオン争いをしていたニキ・ラウダフェラーリの意向に反して危険すぎるとしてリタイヤした。

私は、現在最高のドライバーと称されるミハエル・シューマッハにこそ、「こんな戦いのレースで勝っても嬉しくないし、ファンの見たいレースではない」と言って最終ラップでリタイヤするか表彰台外の成績を残すくらいの事をして欲しかった…現在、チームやスポンサー意向を自らの意思で変えれるドライバーは彼一人なのだから…それが、逆にピットアウトでルビーニョをはじき出すようなレースをしている…相変わらず…
それでも、フェラーリブリヂストンシューマッハには今回の責任は無いのであって、こう有ってほしかったって夢想ですのでフェラーリ・ファンの方々は怒らないでくださいね。

当然、あちこちのサイトでFIAが悪い、ミシュランが悪いとの意見が出ている…もちろん、一番悪いのはミシュランだと思う。しかし、ファンに対してレースを提供しようとせず強権を振り回すFIAが正義とも思えない…ミシュラン陣営はペナルティもしくはポイント無しも提案していたのに…

ちなみに、ファンに対しての謝罪が含まれたコメントはミシュラン(まぁ、これは当然)、各ミシュランチーム、IMSCから出ているが、これを書いている時点ではFIAからはその旨の無いようは出ていないようです…ミシュランが悪いんだから統括運営のトップであるはずのFIAには責任が無いかのような印象です。

一ミーハーファンの私としては、厳格にレギュレーションを振りかざすより、今回限りの条件付でミシュランのポイントは無効するとか、スタートは全車従来タイヤでその後代替タイヤに給油別で交換させるとか、何らかの方法で代替タイヤを認め全車でレースをさせた方がファンからF1もFIAも愛される物になると思うんだけど…これは間違えなのかなぁ…少なくともBS6台のレースよりはファンには楽しめたはず…それともFIAの理念はファン心理より崇高なのかなぁ…

どちらにしても、今回の出来事は(特にアメリカで)F1のファンが減る原因にしかならない事がもっとも悲しいね。