シューマッハのデビュー・エピソード

 さて、シューマッハはベルギーでのF1デビューは勘違いがきっかけだったという有名なエピソードがあります。
 それは…急にガショーの代役が必要になったジョーダンチームで、シューマッハ抜擢にあたり事前に…

 ・エディ・ジョーダンがシューマッハに「君はスパに行った事があるか?」(カテゴリーはともかく”スパで走行(レース)経験があるか?”の意味)と質問し、
 ・シューマッハは「行った事があるよ」(自分は走った事が無いが”レースを見に行った事がある”という意味)と応え、

 双方勘違いのまま会話は成り立ち、ジョーダンがシューマッハを抜擢しました。
 後にエディ・ジョーダンは「シューマッハに騙された」とコメント(もちろんジョーク的に)し、それに対しシューマッハは「行ったかどうかしか聞かれていない」と返していました。
 ジョーダンが「スパでレースをしたか?」と聞いている訳ではないのでシューマッハも嘘をついた訳ではないんですよね(まぁ〜ジョーダンの真意を知ってて、こー答えた可能性も大ですが…)。もしここでジョーダンの質問の仕方が違っていれば、今ごろF1の歴史は大きく変わっていたかもしれませんね。

 なお、チームが無節操にドライバーの入替が出来ないように、チームのドライバー交替についてもレギュレーションがあります。「2台参加のチームは1シーズンのドライバー交替は2名まで、また、交替するドライバーはシーズン前に登録したドライバーに限る」(これは当時のレギュレーションなので今は若干変わってるかも?)
 という事は、この年のジョーダンはガショー→シューマッハモレノ→ザナルディと交替しているので3回交替し、もちろんシーズン前にシューマッハの登録などはされていませんでしたが、ガショーのレース不参加は不可抗力としてガショー→シューマッハの交代は例外処置とされたそうです。

 ちなみに、ガショーがレースに出走できなかった理由ですが…イギリス国内で、ガショーがガールフレンドとタクシーに乗った際に、タクシーの運転手とガショー達が口論になってしまい、運転手がガールフレンドに罵声を浴びせた事で切れたガショーが護身用の催涙スプレーを運転手に浴びせてしまったんです。
 これだけなら大した事でもないのですが、実はその催涙スプレーがイギリス国内では所持するだけでも違法な物だった為、それまでの経緯(運転手との諍い)と関係なく逮捕・拘留されてしまったんです。もちろん、そのスプレーは他の国では所持していても違法にならない国も多いので、ガショーがうっかり持っていたのですが…この拘留は結構長い期間に渡り(実際の期間は分かりませんが1週間どころではなかったと記憶しています)、F1を初めとするレース界でもガショー釈放運動が行われたりしていました。