タイヤ・レギュレーション

我輩も、たまには真面目に語ってみるであります。っていうか一念発起?(って既に真面目じゃない…)

今回のライコネンがペース・ダウンしなかった件があちこちのサイトで論争になっているようです。
前にも書いたけど、あの時、サスペンションが後2周持てば勝てた訳ですからチームもドライバーもペースダウンや交換する理由はあの時点では無いと断言しても良いと思います。「壊れたから、危ないから、ペースダウンすべき」は結果論ですからね…モナコでは壊れずペースが落ちたルノーのブリアトレーが「モナコでの我々を今回のマクラーレンのように同情してくれる輩は一人もいなかった」という感想を漏らしたのは的を得ているような気がします。

もし、マッサのようにトレッドがちぎれて周囲にパーツを四散させてるなら、ライコネンもチームもピットインを決めた思うし、それでも走行すればさすがにオレンジ・ボールでしょう。
更に、エンジンのテレメトリーのように、何らかの方法でサスのアームの疲労限界も数値化してピットで監視していたらチームももっと早く交換に踏み切ったと思うし、それで走行させたのなら非難しても良いでしょう。ただ、カーボンの疲労の場合は金属と違っていきなり壊れますから難しいでしょうね…今の世の中、金属なら伸びやゆがみを検知するシール状の計測機器もあるんだけど。

それに、今回の振動はタイヤの磨耗以前にフラットスポットを作ってしまった事のほうが原因で、これは、今現在マシンのブレーキに問題があったのかライコネンがどこかでハードブレーキングしすぎたのかは分かりませんが、フラット・スポットがなければ…あっても小さければ後2周は持ったと思います。
ちなみに…フラット・スポットは出来てしまうと、その部分が路面に接した時にロックしやすくなってしまい、更なる悪影響をよびやすいんですね…まぁ、某レース評論家は「フラット・スポットを満遍なく作ってやればタイヤは再度、円に近づく」という物凄い理論をテレビで語っていましたが…これって、ほとんど「時間の波の頂点から頂点へ飛び移ればワープできる」ってのと同じレベルの理論では無いかと…でも、彼なら…あの「ギリシャ神話の英雄ベレロフォンの愛馬」を愛称に持つ男ならできるかも…(もちろん彼なら、今回のキミのような状態でも、最後までフラット・アウトでしょう!!)

とりあえず、タイヤ無交換はチーム共通のルールで、タイヤを持たす酷使するはドライバーの腕とレース戦略で決まりますから(もちろんタイヤメーカーとチームの決めたタイヤスペックも重要ですが…走り始めたらって事です)。それに、市販車やカートやFJだって長時間過激な運転をすればタイヤはタレますから、耐久では無いレースだってペース配分というのは十分に重要なタクティクス・ファクターですよね。

その点を考慮すれば、タイヤ無交換はドライバーの腕と経験がレース観戦の面白いポイントとして増えたと断言できます。マニアが観戦しながら色々戦況を予想するのも面白さを増すでしょう(もちろん、含む私)
だから、今回のライコネンとチームの決定も支持できます。それに、レッド・ブルでクルザードが予想以上の戦績を上げていることも、これらの点と無関係ではないのかと思います。

しかし、以前のカキコ通り、私は給油時のタイヤ交換1回OKは認めて欲しいと思うんです…言ってる事が矛盾しているとは思いますが。

それは、FIAが今盛んに口にしているのは「安全」「経費削減」…確かにタイヤ無交換は、タイヤの本数という点にのみ経費削減になっていますが、テストのマイレージ増加等で、ドメステックに経費が削れたという感じではないようです。

そして、安全…これが重要。まず、私が今回ライコネンやチームがペースダウンやピットインしなかった事を肯定しています。それは…完全に危ない物はドライバーも嫌がるけど、「レギュレーションはOKで、ちょっと危ないかもしれないけど速くなる」と言われればドライバーもチームもそれを選択すると思います。そういうリスクを背負って戦ってくれるのがヒーロー=レーサなんですよね、私にとって。

だからなんです、チームはリスクがあっても遅れを取る行動はしません。すなわち、「給油中の交換1回を認めないと完全に駄目になるまで交換しない」というのがチーム側の論ずるに及びもしない結論であり、私もこれを肯定します。って訳なんです。モズレー氏も元はレーサーでマーチの設立者の一人なんだから、「安全」と口に出すなら、このようなチーム側の視点に気が付いても良いと思うのですが…。もちろん、安全のために何でも禁止とも、面白さのために何でも解禁とも思わないのですが、なにか、落とし所を見極めるって事がFIAには感じられないんですよね…

今回のライコネンやマッサのアクシデントが他車とのバトル中に起これば、その被害は予想しきれません。今は、確かにホイール飛散の防護措置も取られていますが、それだって、ある程度以上の速度でマシン同士が絡んでしまえばちぎれて観客やオフィシャルに飛んでいく可能性があります。

タイヤ交換1回を認めても、フラット・スポットやパーツ拾ってのパンクチャーなどを考えればほいほい交換できない…って事は実際考慮されず、あくまでもレースシミュレーションの上で交換タイミングはきまってしまうと思いますが…それでもいつタイヤ交換するかはスタート時の重タン・軽タンと絡んだ戦略も色々考えられてそれはそれで面白いと思うんですが。

…それに、稀にと思いますが、タイヤでのペース配分とかと縁遠いようなドライバーもいるかもしれないですし…

しつこいかもしれないけど、BARの重量問題・モナコアロンソシケインカット・今回のタイヤ問題…なにか、安全と公平って言うのが自己正当化の手段だけになっているような…

長々と書いたけど、単純に「人が死んだり、怪我をするのは見たくない」って事だけです